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太鼓の"鉄人"~僕がバチを手に取り戦う時~

hitabon 
2011.06.23   [日記]


hall/lighting/Makuhari,Japan / amo_designare



 ある日曜の昼下がり、僕は、リビングのソファーの上に横になり、日々の仕事で疲れた体を休めていた。嫁は夕飯の献立を考え、1歳の次男は寝室で昼寝をし、3歳の長男は一人でTVを見ていた。

 長男が、私に問いかける。

「ねえ、押入れにある太鼓のゲーム、またやってもいい?」

 遥か前に僕が購入した太鼓の達人。先日、押し入れの中に眠っていたのを偶然見つけ、長男と一緒に遊んだのだ。太鼓の達人を彼はいたく気に入ったらしい。

「ああ、自分で準備出来るなら、勝手にやってもいいよ」

 私はまどろみの中で答える。答えを聞くや否や、長男はすぐさま押入れに駆け出していった。

「ねえ、今晩の夕飯は、和食、洋食、中華、どれがいいかしら」

 今度は妻だ。夕飯か。何がいいだろうか。昨日の夕飯はカレー。一昨日は、何だっただろうか。確か、トンカツ。いや、それはもっと前だったような。
 だんだんと頭の回転が鈍ってくるのが分かった。強烈な睡魔によって、体が深い深い井戸の底へと引きずり込まれていく。
 ああ、もう、だめだ。意識が・・・途切れ・・・る・・・


 一瞬、ざわめきがが聞こえた。
 誰だろう。妻か、長男か、次男か。いや、もっと大勢の声だ。

「私の記憶が確かならば・・・」

 今度は男の声だ。私よりも年上の、非常に深みのある声だ。何と言っているのか所々聞き取れない。だが、構わず彼は話を続けている。
 その時、ある異変に僕は気が付いた。冷たかった。ソファーの上に寝そべっているはずだが、ソファーと接触しているはずの背中が妙に冷たい。いや、それだけじゃない。硬い、なにか硬いフロアーのような上にいるようだ。
 男はまだ何か話している。

「挑戦者・・・hitabon・・・」

 確かに、私の名が聞こえた。一体何が起きているのだろうか。そして静寂が辺りを包む。何か異変が起きている事は疑いようがない。
 ゆっくりと僕は目を開けた。
 その瞬間、強烈な光が僕の全身を叩きつける。あまりの眩しさにすぐさま僕は手で顔を覆う。
 先程とは別の男の声が響き渡る。

「さあ、挑戦者hitabon。今、起床しました。2児の父親にして、創作太鼓の第一人者としての呼び声も高いこの男が、今宵この太鼓スタジアムに光臨だ!」

 その声は、F1実況のようなアナウンサー口調で一気に捲くし立ててきた。
 少しづつ目が慣れてくる。

「ここは・・・」

 巨大なTVスタジオのような場所に僕はいた。眩いばかりのライトが至るところに当てられている。僕の目の前には、左右二つに分けられたゲームセンターのようなスペースがあった。どうやら、右と左で全く同じものが置いてあるようだ。そしてその2つのスペースの間を通った先には、巨大な太鼓がそびえ立っている。本物かどうか定かではないが、今までに見たことのない大きさだ。さらにその後には巨大な男性の肖像画が3枚飾られていた。
 僕は思い出していた。この奇妙な状況も去ることながら、この光景。たしか、これは、昔TVでやっていた・・・。

 そこに、黒を基調とした華やかな衣装を纏った男性がゆっくりとこちらにやってきた。

「ようこそ、太鼓スタジアムへ。これからあなたには、我が太鼓アカデミアが誇る鉄人と戦って頂きます。それでは、早速ご紹介致しましょう。蘇るがいい!!アイアンゲーマー!!!」

 そう言い放つと、先ほどの3枚の肖像画の方へ腕を振り上げた。
 すると荘厳な音楽と共に、肖像画の下から何かがせりあがってくる。男だ。肖像画に描かれた男たちが、ゆっくりとその姿を現した。ここで、またあのアナウンサーの声。

「さあ現れました。3人の鉄人。和:J-POPの鉄人、馬場八三郎。洋:ユーロビートの達人、坂上宏貴。中:女子十二楽坊の鉄人、陳健二。今宵もこの3人の鉄人が現れました」

音楽が落ち着くと、華やかな服の男が語りかけてくる。

「我が太鼓アカデミアでは、和、洋、中の鉄人を用意致しました。さあ、誰と戦う!?」

 僕の意思とは関係なく、話がどんどんと進んでいく。目の前のライトで気が付かなかったが、このフロアを囲むようにして、大勢の観客がこちらを注目していた。

「いや、僕には何のことだか意味が・・・」
「さあ、誰と戦う!?」
「だから、状況がさっぱり」
「さあ、誰と!?」

 どうやら私が答えない限り、話が先にすすまないようだ。これから何をするのかさっぱり分からないが、よし、決めた。あの人だ。

「馬場八三郎さん、お願いします」

 僕が答えると、再び何処からかアナウンサーの声が聞こえてくる。

「さあ、和の鉄人、馬場八三郎が指名されました。

『馬』
東京は銀座のゲームセンターを根城とする太鼓の巨匠。
『場』
J-POPの鉄人とされながらも、ジャンルに囚われない太鼓捌きをみせる。
『八』
人は彼の事を日本太鼓界の異端児と呼ぶ。
『三』
全鉄人の中でも圧倒的、8割以上の勝率を誇る馬場八三郎。
『郎』
今宵、最強の鉄人がこの挑戦者の前に立ち塞がる!!



 中華にすれば良かった、呆然としながら僕はそんな事を考えていた。

太鼓の"鉄人"~僕がバチを鍋に入れる時~」へ続く

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コメント

オォォーーー!! w(゚ロ゚;w(゚ロ゚)w;゚ロ゚)w オォォーーー!!

この先、どうなる?どうなるのぉ~?

hitabonさんの衣装、考えましょうか?
レオタードがいいですか??ヾ(*ΦωΦ)ノ ヒャッホゥ

コメントありがとうございます

ポテさん
>>hitabonさんの衣装、考えましょうか?
白いひらひらが付いたやつで是非お願いします。
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