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私から息子への食べ物に関する大切な話

hitabon  次男 
2011.05.12   [家族からの手紙]




いいかい息子よ。
この世界には、食べられる物と食べられない物の2種類があるんだ。

お前が今口に咥えている赤いブロック、それは食べられない物だ。
私がお前に、食べられる物と食べられない物の見分け方を教えてやろう。

 まず硬い物。これは食べられない。歯で砕けない物は一般的に食べることが出来ないと考えてよい。次に悪臭がする物。どんな臭いをもって悪臭と定義するか難しい、そう思うだろう。だが人間は臭いで、それが腐っているか腐っていないか本能的に判別出来る機能が本来備わっている。お前が臭いを嗅ぎ、その時の直感に従えば良い。そして、味が妙なもの。これも人間の本能によって判別出来るだろう。辛すぎたり、苦すぎたり、甘すぎたり、酸っぱすぎたり、そういった類の物は決して食べてはいけない。また過去の経験によって、本来の味からかけ離れていると感じた場合も食べてはいけない。

 細かく言えばまだまだあるが、まずはこれだけを覚えて欲しい。だが、世の中にはそれだけでは括れない物も存在する。

 私の体験談を話そう。体験談と言っても、つい先日、私の隣にお前もいた時の話だ。
 義母の家で夕食を頂いたことがあっただろう。お前は口にしなかったので知らないかもしれないが、夕食に義姉がこしらえた鮭のマリネがあったのだ。
 お前も知っての通り、私は酢の物があまり好きではない。酢の物を口に入れると、私の本能が「此れは食べていいのか?おい、ほんとに此れを食べる気か?」と警告してくるのだ。だが私も経験豊富な大人なため、マリネとはそういう物だということを予め知っている。だがその晩は悪いことに…いや悪くはないが、義姉が調理、かつ義姉自ら小鉢に私の分の鮭のマリネをよそってくれたのだ。

 いいか息子よ。大人には引けない時があるのだ。負けると分かっていても、挑まなくてはいけないときがあるのだ。私は、鮭のマリネから鮭を一切れ摘み、口に落とし込んだ。しかし驚いた事に、その晩の鮭のマリネは旨かった。お世辞だが旨かった。私はな、今夜は大丈夫だとその時は思ったのだ。勝って義母の家から帰る事が出来るとさえ思ってしまったのだ。
 だが現実は厳しかった。鮭のマリネと一口で言っても、実際の小鉢の中身は鮭、玉葱、わかめ、そしてレモンスライスで構成されていたのだ。私が最も驚いたのはレモンスライスの量だ。わっさり、もっさりのレモンスライスだ。レモンスライス一口食べてみた。想像していた以上に酸っぱかった。

 息子よ。ここで問題なのは、このレモンスライスが食べられるかどうかだ。お前も唐揚げは食べた事があるだろう。唐揚げにはレモンをかけることがあるのだ。ただし、飲み会で唐揚げにレモンをかける時は必ず女性に一声掛けるのだぞ。唐揚げと一緒に出されるレモンは食べるか?答えは否だ。そのレモンは絞るだけなのだ。よくよく考えると、レモン自体そのまま食すことはあまりないのではないか、レモンはその果汁に重きを置かれているのではないか、と私は考えていたのだ。
 だが、この小鉢のレモンはどうだ。果汁を絞るといった用途に用いるにしては、いささか量が多すぎる。食べるべきか、食べないべきか。私はね、すぐに周りを見た。賢い大人は冷静に周りを観察出来るのだ。私だけではなく、義母、義姉、嫁にも鮭のマリネ用の小鉢が配られていたのだ。それを見て、皆がどうしているか参考にすれば良いのだ。だが実際観察してみると、この時点で銘銘の鮭のマリネ用の小鉢は既に空になっていたのだ。皆レモンスライスを食べた、そう私は結論付けようとした。

 だがその時の私はね、もう少し冷静に考えなくてはいけないと思ったのだよ。それは私のレモンスライスの量だ。そもそも皆の鮭のマリネの小鉢に本当にレモンスライスが入っていたのだろうか。全てのレモンスライスが私の小鉢に配られたのではないだろうか。一体この鮭のマリネのために何個分のレモンが使用されたのだろうか。残念なことに、この問いに対する回答は、もうこの時点で私の中で得ることが出来なかったのだよ。

 それから一時間くらいした後、皆が食器を片付けだした。私の鮭のマリネの小鉢には、レモン、レモン、レモン。春の土手のような綺麗な黄色で彩られていた。、テーブル中央の鍋の脇にその小鉢を隠しておくことで、それまで事なきを得てきたが、もうそろそろどうにもならない。
私はね、皆の視線がテーブルから離れた一瞬を見計らい、すっと私の鮭のマリネの小鉢をテーブル中央に押しやった。たったそれだけで良かったのだよ。そして黙ってテーブルを離れた。誰かの声で後ろから「この鮭のマリネの残り、誰の?」と聞こえたが、私は振り返らなかった。”残り"という言い回しに関して、どういった事なのかも追求しなかった。

いいかい息子よ。
この世界には、食べられる物と食べられない物の2種類があるんだ。

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コメント

No title

こんばんは
食べられるものと食べられない物・・・
もしかして、食べたい物と食べたくない物?
正しい大人の身の振り方を息子さんも
きっとお父さんから学んでいくのでしょうね。

世の中は混沌として、単純ではありません。
時として 食べられるふりをして、食べられない物があることも
息子さんに教えてあげないといけませんね。

No title

初めましてm(__)m
ほんとまったく関係のない所からまったくの偶然でここに飛んできたんですが
題名見たときは「あぁ…なんかよくある子育てブログか…」と覗いたら…
語り口調といい、言葉の表現といい…ただの好き嫌いをさも高尚な教えのように…
マリネを食べてる時の心情がありありと浮かんできてめちゃめちゃ面白いですねw
お気に入りに登録させて頂きます♪

コメントありがとうございます

hanakajiさん
>>時として 食べられるふりをして、食べられない物があることも
>>息子さんに教えてあげないといけませんね。
本当に奥が深いですね
私、思ったのですが、食べられるものと食べられないものの違いは、そこに愛情があるかどうかだと思うんですよ。フフ…(なんか深イイ事書いた風)

ユトリさん
はじめまして
深い感想ありがとうございます。今回は書いてる途中、ずっと渡辺満里奈の事を考えていました。今後も宜しくお願いします!

単純に

鮭よりメインになってはイケナイ存在では無いでしょうか?
ひっそりとはにかむ様に鮭・タマネギ・ワカメの陰から爽やかな香りで…鮭の生臭い自己主張を優しく包み込むのが、正式なマリネに於けるレモンの存在では無いでしょうか?

この比率を間違えられ、食卓に送り込まれた。まさにマリネの悲劇です。

コメントありがとうございます

ナイトイーグルさん
>>ひっそりとはにかむ様に鮭・タマネギ・ワカメの陰から爽やかな香りで…鮭の生臭い自己主張を優しく包み込むのが
とてもイジラシイ存在だったのですね。
これからはレモンのこと、もっと好きになりそうです…ポッ(*´∀`)
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