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居酒屋で

hitabon 
2010.08.10   [日記]



「おやじ、もう一杯酒だ!」
私は薄暗い店の中で店主に対して更に酒を要求した。
私のぶっきらぼうな言い草とは対照的に、店主は快く秘蔵の酒を店の奥から取り出し、私に振舞ってくれた。
私は今、日ごろの鬱憤を店主にぶちまけていた。この光景を他人が見れば、なんとみっともないと思うことだろう。だが幸いなことに私以外に客はいなかった。そして店主はそれを笑顔で聞いてくれていた。

「どうぞ、食べてください」
頼んでもいないのに大きな梅干のお握り。丁度小腹が空いていたところだ。ありがたい。私は大きな口を開けて食べた。だが何故か味がしなかった。

「これも、どうぞ」
さらにやきとりを2本出してくれた。
店主は、私がやきとりを頬張るのを微笑んで見ていた。私はその笑顔がとても好きだった。彼とは数年来の親交があった。どこへ行くのも一緒だ。
どういう訳か、焼き鳥も味がしなかった。

「これも、どうぞ」
さらに店主はカレーライスを出してくれた。だいぶ腹は膨れていたが、店主の好意を無駄にしたくなかったため、私はいそいそとカレーライスを腹に収めた。店主は昨日、カレーライスを食べたらしい。そういえば、私も昨日カレーライスを食べた。
そしてまた、これも味がしなかった。

「これも、どうぞ」
さらに店主はうどんを出してくれた。どうやら、うどんは店主の大好物らしい。私もそれを知っていた。しかし「さすがにもう食べられない」、そう伝えようと思ったが、あれほど食べたのに何故か店に来る前よりも腹が余計に減っていることに気づいた。
そして案の定、味がしなかった。

扉が開き妻がやってきた。私に合図をした。
時計の針は夜10時ちょうど。
私は店主に言った。

「○○(長男)。今日はもう寝る時間だから玩具を片付けて」

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コメント

こんばんわ

確かに味しないよね(笑)
今日も落ちが面白かったです( *´艸`)クスクス
優しいお父さんですね♪
深夜営業でなくて良かったです
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