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我が家に塩ポン酢が届いた日

hitabon   
2011.02.24   [日記]


「そこのかわいい奥様。から揚げを食べる時にもっとさっぱりしたものをかけて食べたい!そんな事を思ったことはございませんか?」
透明な瓶に詰まった液体を私は嫁に対して差し出した。部屋の灯りを浴びてその液体は輝きを放つ。無数の星屑が瓶の中で漂っているようだった。

我が家は生協の宅配サービスを利用している。予め配布されたカタログから自分の欲しい食材を選び、そのリストを配達員に渡すと、後日宅配してくれるのだ。カタログには多種多様なものが載せされている。牛乳、卵、パン、冷凍食品、レトルト食品、キッチンまわりの小物。元々この宅配サービスを始めた理由は、妻が一人目の子供を妊娠した際、買い物に出かける労力を軽減させるためだった。しかし、子供が生まれた後も食材の良さであったり、牛乳などの重い物をスーパーから家まで持ち帰らなくて済む事に利便性を感じて利用し続けている。

 何を購入しているのか通常私は感知していない。注文カタログを時折のぞくこともあったが嫁に全て任せていた。そんなある日、部屋のテーブルの上に置いてあった生協のカタログを見てみると、聞き慣れない名前の調味料が載っていた。

”塩ポン酢”

丁度通りかかった妻に尋ねる。

「ねぇ、塩ポン酢って知ってる?」
「塩ポン酢?知らない。普通のポン酢とは違うもの?」
「なんか普通のものよりさっぱり味みたいだよ。面白そうだから試しに買ってみない?」
「確かに面白そうだね。じゃあ注文しておくよ」
「ありがとうございますだ、領主様!」

こうして我が家に黒船塩ポン酢がやってくることになった。

それから数日が経った。待ちに待った塩ポン酢がついにやってきた。その日の夕食は鶏のから揚げ。塩ポン酢の力量を測るのに申し分ない相手だ。食卓の上に揚げたてのから揚げとご飯、味噌汁、サラダ、漬物が並んでいた。そして一本の瓶がその中央にそびえ立つ。我らが塩ポン酢だ。

「いただきます」

 皆で一斉に声を上げると、我先にと私は大皿に盛られたから揚げを一つ箸でつまむ。直ぐ様それを自分の皿に置き、今度は塩ポン酢の瓶を掴む。素早い手付きで蓋を開けると、から揚げに向かって傾ける。……出てこない。落ち着け、自分。中蓋だ。中蓋が付いたままだ。中蓋というトラップが未開封の瓶物にはあるのだ。私は急いで中蓋を外し、それをから揚げにかけた。

 トク、トク、トク。封を開けたばかりのワインを注ぐようなサウンドが部屋に漂う。黄金色に輝く塩ポン酢がゆらゆらとから揚げに舞い降りていった。肉の凹凸に沿ってその神秘の液体は流れていき、すっと肉の奥深くに染み込んでいく。そして揚げた油と塩ポン酢が互いに出会う時、から揚げが眩いばかりに輝きだした。それだけではない。心地よく微かな果実の香りが、から揚げのカリカリに揚がった香ばしさと共に止め処なく湧き上がってくる。私は震える箸でから揚げを掴んだ。肉汁とも塩ポン酢とも判断つかぬ鶏の旨みの詰まった汁が、から揚げ全体から溢れ出し皿の上に逃げ出していく。その汁をこれ以上こぼさない様に、そっと自分の口をから揚げの方に私は持って行き、少しだけ焦げて黒みを帯びた皮と、ふくよかな丸みを帯びた肉が付いた部分に思いっきりかじりついた。

これが!!!これが!塩ポン…酢…?そう…これが…塩ポン酢…だ…

私は全てを悟った。嫁が私に尋ねてきた。
「どう?塩ポン酢は?」
「ああ、うん…まあ食べてみなよ」
「ほうほう、じゃあ試してみようかな」

妻は、おもむろにテーブルの上に置いてあった醤油を取り、自分の皿のから揚げにかけた。
私は息を呑んだ。言葉が出なかった。たった今自分が見た光景が信じられなかったのだ。私は塩ポン酢の話を妻としていたはずだ。そして妻は塩ポン酢を試すと答えた。しかし、なのに、だけれども、どういう訳か、今妻は醤油をから揚げにかけた。昔の偉い人。やっぱり地球は回っていないのかもしれない。宇宙の方が回っているのかもしれない。

ああ、分かった。私の努力が足りないのだ。私は箸を置き妻に語りかけた。

「そこのかわいい奥様。から揚げを食べるとき、もっとさっぱりしたものをかけて食べたい!そんな事を思ったことはございませんか?」妻がこちらをちらりと見た。「ソース?くどい。マヨネーズ?重い。醤油?濃い。ああ~から揚げにかける調味料がもう無い。そんな風に思った事はございませんか?」

「ああ~塩ポン酢はあとで食べ」

「大丈夫!!!そんな悩みを解決出来る調味料があるんです!!」

「ちょっと、先に醤油で食べたか」

「そんな魔法の調味料が存在しちゃうんです!!!!」

「だから…」

「はい、それがこちらのポン酢!!!」

「それは知って」

「え??それじゃただのポン酢じゃないかって?違います!!これはただのポン酢じゃないんです!!!!」

「わかった、じゃ」

「なんとこちら塩!!!そうあの塩!!!塩ポン酢!!!!!」

「かけるから、もうゆる」

「このさっぱりした風味!!かけてあるのかないのか分からないくらいのさっぱり感!!!!素材の旨みを120%引き出します!!!」

「ほんとごめんな」

「そして、なんとこの塩ポン酢!!!ご使用頂くのに複雑なお手続き、手順は一切必要ありません!!!」

「いったいなんのはな」

「なんと!!なんとですよ、奥様!!ご購入頂いた塩ポン酢を持ち上げてもらって…このようにから揚げにかけるだけ!!!」

「そんなあたりま」

「さらに、さらに!!今回はこれだけじゃないんです!!!!今回ご注文されたお客様全員にこちら!!こちらのフルHDビデオカメラもお付けします!!!」

「どこから」

「見てください、こちらの映像。フルHDなら1920×1080ピクセルでこのような鮮明な画質で録画できるんです!!!!」

「もうも」

「お子様が塩ポン酢を使って食事をしている姿!!!ぜひデジタルで録画して未来に残してください!!!」

「なぜそ」

「さあ、お待たせ致しました!!!肝心のお値段発表いたしますよ!!!お電話の準備はよろしいでしょうか?こちらの塩ポン酢。今回は最新のフルHDビデオカメラもつけまして、」

「いや」

「25万9800円!!!」

「高いわ!!!!!!!」



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コメント

最近うちも生協入りました~!!そのポン酢に気づかなかった私のバカバカ~
続きが気になる~~!!!

はじめまして。

あまりに美味しそうでコメントしてしまいました(´ρ`)
こんなに美味しそうなのにオチがあるのか!?と勘ぐってしまいます。。

生協とは別ですが

私も今日『塩ポン酢』なる商品を店の陳列棚から発見しました。

(*^-^)b 明日買ってみよう♪

No title

面白い~♪
小説を読んでるみたいに
光景が浮かんできました(笑)

塩ポン酢!
確かに生協のカタログにあったような・・
次回頼んでみようかしらん^^

No title

今まさに唐揚げ(冷凍)を食べようとしてます
マヨネーズと醤油と塩
どれで食べるか迷ってたたんですが、
もう塩ポン酢しか考えられない!!w

コメントありがとうございます

mackyさん
塩ポン酢。合う人と合わない人がいるかもしれません(笑
不味い訳では決してないのですが、日記内でもさらっと触れたのですが、素材の味を120%だすというか、味が薄いというか…

かじゅさん
唐揚げ美味しいですね!
結局私は普通のポン酢をかけて食べるのが好きです(笑

ナイトイーグルさん
ぜひお試しください。
そして感想をお聞かせください。

あんこさん
>>確かに生協のカタログにあったような・・
やはり塩ポン酢、意外と使っている人少ないみたいですね。
ぜひお試しを!

雅さん
>>マヨネーズと醤油と塩
マヨネーズはなんか太りそうですね(笑
でも美味しそう。。。
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