スポンサーサイト

--.--.--   [スポンサー広告]

キウイときゅうりに纏わる起源

hitabon  長男 
2011.01.23   [Hitapedia]



「これ何ていう名前?」

夕御飯を食べ終えた私が携帯を弄っていると、息子が皿に山盛りになったキウイを持って尋ねてきた。

「ああ、それはキウイだよ」

そう答える私に、息子は不思議そうな顔をして再び尋ねる。

「え?きゅうり?」

確かに似ている発音だ。

「ちがう、ちがう、これはね"きゅうり"じゃなくて”キウイ”って食べ物なんだよ」

もう一度丁寧に教えると、息子は僅かに驚いたような顔と共に納得してくれたようだ。

「そうか~。どっちも緑で名前、同じみたい」

「はは、確かにどっちも緑で名前が…」

私はそこまで言いかけた時、思わず言葉に詰まった。今まで全く意識していなかったパズルのピースが突然頭の中に現れる。

"きゅうり"と"キウイ"という非常に似通った発音。
”きゅうり”も”キウイ”も同じ緑の食べ物。

果たしてこの2つの事実は偶然なのだろうか?

部屋の隅にある私の背丈程の木でできた本棚を見た。嫁が毎日掃除をしてくれていたため綺麗に本が整えられ、本たちは手に取ってもらえる時を今か今かと待っている。その本棚の一番下。とりわけ一番大きくて古い本。色褪せた紅い背表紙に濁った金色の文字でこう書かれている。
「Hitapedia」
そこには森羅万象、この世のありとあらゆる事が記載されている。

私は大きく深呼吸をした。この中に二つのパズルのピースの謎を明らかにする答えがあるはずだ。両腕で丁寧に取り出した本を、机の上にごとりと置いた。使い込まれ少し日に焼けているページを静かにめくっていく。古い本の独特の香りが紙と紙の間から溢れだし、私の鼻をくすぐった。

そして私は見つけた。

【Hitapediaより引用】

西暦1549年12月。

オランダの貿易商であるサンパダ・ヨーデルは、まだ幼い10歳の息子ビエコ・ヨーデルを引き連れ日本近海を航海していた。当時の船旅は現在のそれとは異なり、危険に満ち溢れたものだった。しかしサンパダは将来自分の地位を譲る息子に世界を見せたい一心で、まだ幼い息子を危険な航海に連れていた。

しかし彼のその判断は最悪の結果を迎える。

ある嵐の晩、甲板で荒れた海を観察していた息子ビエコは、波にさらわれ行方不明となる。その日の日本沿岸は近年稀に見る記録的な暴風雨。サンパダ含める船員全員での捜索も空しく、とうとうビエコを見つけ出す事が出来なかった。

その2日後。

鹿児島のある村の海岸で、波打ち際に倒れていたビエコが発見される。発見したのは同じく10歳の江戸川 世太部江という少年。
この二人の出会いが、当時日本でまだ見ぬ食材を、日本全国にもたらす事になる。

世太部江の懸命の介護のかいもあり、ビエコは奇跡的に一命を取り留める。世太部江の家は決して裕福ではなかったが、両親への世太部江の必死の懇願の末、ビエコを家で一緒に住まわせることになった。しかし、まだ日本は外国に対して敵対心を抱いていた事、言葉が全く通じなかったことから、ビエコは謂れのない差別や偏見の目を向けられ、日本での生活は熾烈を極める事になる。しかし、ビエコが心ない村の子供から石を投げつけられ時は、世太部江が必死に彼らを追い払い、村の祭りに参加出来ずに一人川辺で佇んでいた時には、世太部江も一緒になって彼の横に座った。お互い言葉は通じないものの、いつしか彼らは固い絆で結ばれるようになっていた。

ビエコは海岸で発見された時、リュックサックを背負っていた。その中には丸くて緑色の実がぎっしり詰まっていた。幸いにもこのリュックサックが浮き袋の代わりとなり、ビエコの命を救ったのだった。世太部江にとって、その緑色の実は初めて見るものだった。ビエコに薦められて食べてみるとこの世のものとは思えぬ旨さ。一口たべてその虜となった。世太部江の家の裏庭はきゅうり畑になっていた。一面に広がる水々しい緑。ビエコもまた、日本で初めて食べたきゅうりに感動した。噛んだ瞬間に口の中に広がる生命の息吹、故郷オランダでは決して味わったことの無い旨さだった。日本の緑の野菜、オランダの緑の実、この似通った二つの食べ物とのそれぞれの出会い。二人は言葉にせずとも何か運命的なものを感じていた。

程なくして二人は世太部江のきゃうり畑の脇に、ビエコの緑の実の栽培を行うことを決意する。勝手の分からぬ実の初めての栽培。二人は何度も失敗を重ね、リュックサックに残っていた最後の1つの実でようやく安定した栽培が行えるまでに漕ぎ着ける。村の人間も初めこそいぶかしげにそれを見ていたが、一人それを食べて旨いと評判をたてると、たちまちその緑の実は村の誰もが知るところとなった。しかし世太部江がビエコにこの実の名前を何度聞いても、ビエコはいつの間にか覚えた日本語を使って「阿呆か、阿呆か」とばかり言い、決して教えようとしなかったという。それでもこの名もなき実は村中の評判となる。さらに一緒に育てていたきゅうりも飛ぶように売れ出した。それらは「世太部江のきゅうり、ビエコの緑の実」と評され、その後鹿児島全土を賑わすことになる。二人はとても満足した。もはやビエコを外人だと差別するような人間は一人もいなくなっていた。

半年が経った頃。

村の浜辺に大きな商船が上陸した。ビエコは一目見てそれが父のものであることを理解した。サンパダは息子が行方不明になった後も懸命に日本各地を探しまわり、最近息子の名を冠した緑の実を流行らしている村があると聞きつけやって来たのだ。サンバダとビエコは半年という月日を経て、ようやく再会する。

そしてビエコに大きな決断が迫られる。

日本に残るか?それとも故郷オランダに帰るか?
まだ10歳の子供、誰もが国に帰る事を選択すると考えたが、当のビエコは悩んでいた。それ程までに世太部江と過ごした日々は彼自身を変えたのだった。同時に彼との友情もかけがえの無いものとなっていた。

悩むビエコに世太部江は言った。
「悩むことはない。君は故郷に帰るべきだ」
この時点でもやはりビエコは日本語が分からなかったが、父サンバダに通訳してもらい彼の本心を理解することが出来た。
「ビエコ。この緑の実、俺は必ず日本全国に普及させてみせる。変わりに君は故郷できゃうりを普及させてくれ。もしお互いその夢が叶うことが出来たら、その時また会おう」
「阿呆か」
ビエコはそう言うと大粒の涙をこぼし、お互い固い握手を交わした。
そして、また再会出来る日を夢見て二人は別れた。

ヨーデル親子のその後の消息はどの文献にも記されていない。
ただ、オランダにおいてある時期を境にして、それまで行なわれていなかったきゅうりの栽培が爆発的に増加した、という事実のみが歴史に残されている。

そして日本においてこの緑の実。
日本全国に普及するのは、その後それほど長い年月はかからなかったのである。


<Hitapedia:日本におけるアボカドの普及 終>

あとがき

世太部江とビエコの激しい頭脳戦、皆様いかがでしたでしょうか?世太部江がポテチを食べながらノートに名前を書くシーン、書いていた私も手に汗握りました。そして物語ラストのビエコが「I'll be back」と残して日本を去る場面。世太部江の「シェーン!!カムバック!!」という悲痛な叫びも加わり、私はその泣き声を今でも頭から消し去ることが出来ず、自分でも何のことを言っているのかさっぱり分かりません。

さて、言うまでもありませんが、てきとうに書いた話なので信じないでください。
「問:1549年に日本の鹿児島にやってきた人物は誰か?」
誤答例:ビエコ・ヨーデル
正答例:フランシスコ・ザビエル

1 いっしょに
5 ごらんよ
4 ヨーデル親子の
9 きゅうり栽培

このように覚えてください。いや、覚えないでください。どうしても覚えたい方は「9=キリスト教」としておくと良いです。一見、ヨーデル親子とキリスト教は何の関係も無いように思えますが、本当に関係ないです。

ちなみに、ビエコは「ちょびエコ」と書いてあったティッシュペーパーから付けた名前です。

それとコメント下さった方、ありがとうございます。
>>「キウィはまたたびの改良種です」
なるほど、とても勉強になりました。

それではこれを読んでくださった皆様に素敵なキウイライフがあらんことを願い、このお話の終わりの言葉とさせて頂きます。


web拍手 by FC2
コメント

私が覚えたのは

以後よく ・・1549・・来る
キリスト教って覚えましたよ。

すごいおもしろかったです!
手に汗にぎりました%
世太部江には感動しました*
ラストはあまりにも悲しくてつらかったです#
これからもHitapedia必要ですね@

深イイっ。

きゅうりもキウイも大好きです。
きっとこの二つを食べる時にはヨタベエとビエコの事を思い出し
涙なしでは食べられないでしょう(笑)

えっと・・・
ビエコとビスコ
ビエコとピコラ
似てません?
お菓子大好きトキコより。

きゅうりとキウイでここまで書けるってすごくない!?ってか、すごい!!!(笑)

コメントありがとうございます

yukoedenさん
「以後よく(1549)来るキリスト教」
私もそれで覚えた気がしますw
今後は「以後よく(1549)来るヨーデル親子」で覚え直してみてください
(肝心な部分の情報が抜け落ちている気もしますが、気のせいだと思います)

ときこさん
ピコラって言われて何だか分かりませんでした。
検索して画像見て、分かりましたw似たようなお菓子は食べたことある気がするのですが、ピコラそのものは食べたことがないかもしれませんw
「以後よく(1549)食べるピコラ」
と覚えておきます。

mackyさん
ありがとうございます
「以後よく(1549)ありがとうございますmackyさん」
と覚えておきます。

No title

はじめましてm(- -)m

ものすごく、、真剣に読んでしまいました。。
気持ちの着地点を見つけられず…コメントさせてもらいました(笑)

キウイが、、アボカドになっちゃった…(´・ω・`)アリー

また、寄らせていただきますm(- -)m

コメントありがとうございます

なりさん
はじめまして!
>>ものすごく、、真剣に読んでしまいました。。
ありがとうございます^^;
アボカドは私の中では大人の食べ物です。20歳を過ぎて初めて食べましたw
コメントフォーム














管理者にだけ表示を許可する
送信時に拍手も送る(拍手用のウインドウが開きます)

プロフィール

名前 : hitabon

2児(♂5歳、♂3歳)の父親です(プロフィール詳細はこちら)

連絡先はこちら
お知らせ
※当ブログへのリンクは連絡不要です
人気記事ランキング
スポンサードリンク
Amazon

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。