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秋の公園に佇む家族

hitabon  長男 
2010.10.19   [日記]



 息子は朝食を終えると、我先にと玄関へ向かって走りだした。そして「早く公園に行こう」と私を催促する。私と息子は"朝ごはんを全部食べたら、公園に一緒に行く"と約束をしていた。

 ようやく身支度を終えた私が行くと、玄関で待ちくたびれた息子は、キャラクターが描かれた緑色のボールで遊んでいた。
「遅いよ、早く行くよ」
私に文句を言いながらも、笑顔で自分の背丈以上もあるドアノブを必死で掴みドアを開ける。私は履きかけのスニーカーもそのままに、一緒に外へ飛び出した。

 昨日の雨が嘘のように、空は澄み渡っていた。そして天高い秋晴れの空は、空と地上の境を曖昧にし、何物にも変えがたい開放感を作り出していた。早く公園で遊びたい気持ちを抑えきれない息子は、終始急ぎ足。そして私は遠くから微かに聞こえる金木犀の香りと隠れん坊をしながら息子を追った。

 公園に到着すると、息子はお気に入りの真っ赤に塗られた滑り台へ駆け上った。公園の片隅には背の高い黄色い草木が咲いている。時間が早いためか公園には私達以外は誰もいなかった。滑り台の頂上から息子が声を上げた。
「こっちを見て。高いでしょ」
運動会で1等をとったかのように自慢げに私に語りかけてきた。下から見上げると、青い空の中で戯れているようだった。私が笑いながら「すごいね」と声を掛けると、髪をふわっと揺らしながら、空から滑り降りてきた。

 滑り台、鉄棒、ブランコと遊び、次は砂場へ向かった。いつもは息子が砂場で遊ぶ際は、傍からみていることが専らだったが、今日は一緒に参加してみることにした。息子も満面の笑みでそれに応える。息子は砂を掻き集めると、掌に乗せておむすびを作るように懸命に握った。しかし出来上がったそれは、地面に置くといとも容易く崩れる。そのため、今度は集めた砂を私の足元に集め、私に握るように要求してきた。私の掌で握られると、魔法のように唯の砂が堅くて丸い砂団子に変わる。今度は地面に置いてもしっかりと形を保っており、息子は満足顔だった。私が次々と団子を作ると、息子がそれらに次々と命を吹き込んで行く。
「これはお父さん」
「こっちはお母さん」
「次は○○(長男)君の」
「最後は△△(次男)君の」
そして、それらを一列綺麗に四つ並べた。

 息子は何かを見つけて、砂場の外へ走り出した。

 色なき風。音もなく。通り過ぎ。

 一番端に置かれていた砂団子が静かに崩れた。息子はひらひらと飛ぶ黒い蝶と何やら立ち話をしているようだった。私は崩れた砂をかき集めて再び団子を作り、命を吹き込む。そして元の場所に戻してあげた。

「よし帰ろうか」
私の声に息子は胸の前で大きく両手を叩き、手についた砂を落とした。その勢いで砂が顔に付き、笑いながら今度は顔の砂を落とす。私は笑いながらそれを見ていた。そして一緒に公園の入り口へ向かう。

 入り口にある古びた緑色の柵を通り過ぎる。
「お母さんも来ればよかったのにね」と息子。
「そうだね、今度は四人皆で来ようか」と私。
息子が差し出した左手を、私が右手でそっと握り、並んで歩き出した。後ろを振り向くと、公園には穏やかな秋気と、一列に並んだ小さな家族のみが残されていた。


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コメント

No title

hitabonさんの事だから文章に何かある何か仕掛けがどんでん返しが・・・
と思いきやさらりと最終行へ・・・
ハートウォーミーなhitabonワールドも良いですね♪
やわらかい一日のひとこまが切り取られていて好きです☆彡

No title

うーん…
不安を感じた俺はやっぱり考えすぎかしら…。

 
あぁ…子供達と散歩に行きたい…。

No title

ほのぼのします^^
家族と一緒に過ごす時間を大切にされているんですね♪いいことです☆

No title

家族っていいな。。。 

文章から その状況を頭に描けてしまった。
素敵な作品でした。。。

秋の公園・・・・その2は どんな敵がでてくるのかなw
ワクワク。。

No title

息子さんと遊ぶ、穏やかな風景が浮かび、
とっても心が和みます~~~。
hitabonさんは、ステキなパパですネ!!!

No title

家族で過ごす穏やかな時間、素敵です^^
お子さんが作られた砂団子、無邪気ながらも一生懸命に作られている姿が目に浮かびます。
なんだか私も久しぶりに砂遊びがしたくなってきました^^

No title

今回のは独り者には眩しすぎますぜよww

息子さんの台詞で「これは僕の」かと思ってたんですが
まさか5人目?とか思ったり、、
探りすぎましたw


こんばんは

うちにも
昔はあった…
遠い風景…

もう二人の娘たちはひとりだちしており…
懐かしき…よいですね!ほんと

子育て真っ最中の頃を思い出しましたよ ありがと

great

新聞の構成がスゴイですね~
砂団子の写真にhitabonさんの優しさが伝わってきました 素敵です

No title

構成が、まるで電子書籍を読んでる気分 v-87
写真もばっちり v-212
hitabonさんの息子さんに対する愛を感じました。

がんばれば、純文学系もいけそうですね v-34

No title

いいな~、いいな~。
お父さんと公園に行った思い出ありません。
料理人で休みなく働いている人だったから。
その分大人になった今、一緒に出かけることが多くなりましたが(笑)

ほんわかあったかいお話ありがとうございます。

すごぉい私もこんだけ書けたらな~~!!

コメントありがとうございます

ジルさん
>>hitabonさんの事だから文章に何かある何か仕掛けがどんでん返しが・・・
と思わせての、逆ひっかけみたいな感じですね(笑)

マッキさん
>>不安を感じた俺はやっぱり考えすぎかしら…。
そこまで考えてくれているとは。。。TT
落ち込むこともあるけれど、私(私達)は元気です。

夏目 春妃さん
最近は公園に行くのも気持ちいいですね。
夏場はほんときつかったですが。。><

みゅうさん
>>その2は どんな敵がでてくるのかなw
みゅうさんの頼みとあらば、次は公園帰りにマシンガン片手に暴れまわる話を考え…られるよう善処します…

kiyumiさん
いやいや、そんな素敵なイケメンでイクメンだなんて、そんなことないですってば!!

優月さん
砂遊びは久しぶりにやると面白いですよ。小さい頃、意味なく固い団子をつくるために、水と砂を交互に振りかけて作ったのを思い出しました(笑

雅さん
>>まさか5人目?とか思ったり、、
いったい誰の子よ!?キーーー!!ってなっちゃいますね。。。

みかすけさん
こんばんわ。
私も時が経てば、みかすけさんのように懐かしく思い出す時がくるのでしょうね。その時、いい思い出だったねと言えるように頑張ります。

933(さん)
>>新聞の構成がスゴイですね~
いいこと言ってくれました!!
皆さんちゃんと段組みレイアウト、見れているのでしょうかね。導入するまで結構、微調整いりましたTT

hanakajiさん
>>がんばれば、純文学系もいけそうですね
ありがとうございます^^;
でも私は「ガラパゴス土器」とか言っちゃってるような人なんですTT

ときこさん
大人になってから一緒にでかける、というのもいいですね~
男の子の場合は、きっと大きくなると一緒に出かけることはなくなってしまいますよね。
でも、そんな葛藤?は、私自身の父が健在である今、私が子の立場で同じことなんですよね。
今度、どこか連れて行ってあげようかな

mackyさん
私も色々な方のブログを見て、「そんな風に書けるんだ!」って驚きと同時に、落ち込む事が多々あります。でも、沢山書いているうちに上達するはず!と信じて書いています^^;
誰もが未だ発展途上なのだと思います!!

No title

離れ離れに暮らしてる息子・・・
でもhitabonさんと同じく父親頑張ってます^^
頑張ってるってのもおかしいかもしれないけどね(笑)
また癒されにきますね^^では

切り取りたい一場面

息子さんが話しかけていた
黒い蝶は
きっと天国から遊びに来た
かわいい子孫たち(hitabonさん親子)
をいつも見守っている
ご先祖様ではないかしら・・・
蝶々を見ると
私はいつも亡くなった人の
化身だと思ってしまいます。

No title

いつも写真も文章も綺麗で感嘆しております。
たのしく読ませて頂いております。
土の団子の写真すら味がありますね。
ビックリです。

No title

幸せな写真ですね!
羨ましいです。
幸せ過ぎます。
こういうの、憧れるなぁ。。。

初めまして

詩ですね

秋のほんわりとした陽射しを
砂団子の爽やかな冷たさを
いたずらっぽく砂のついたほっぺを
ああ とっておきたい!

大好きな絵のように 額に収めよう

コメントありがとうございます

toshiさん
そう言って頂けると幸いです!
お互い頑張りましょう!

purecreamさん
>>蝶々を見ると私はいつも亡くなった人の化身だと思ってしまいます
素敵ですね。
そう考えると、息子は本当にご先祖様と会話出来ていたのかもしれないですね

ピコさん
>>土の団子の写真すら味がありますね。
ありがとうございます。
でも写真撮るのは本当難しいですね。これを撮るのにも、何枚撮影したか分かりません(笑

80tarou(小鉄)さん
みんなそれぞれに色々な幸せがあるかもしれないですよ。
一つ一つ見つけていって、それを自分にとっての幸せとして大切にしていければいいのかなと思います

dariaさん
こんにちわ。
dariaさんから頂いたコメントも詩のようで、とても素敵です
確かに、そんな瞬間を視覚だけではなく五感全てを額に収めておきたいですね

はじめまして

素敵な写真ですね!
何でもない日常のシーンに、なにかあたたかいものを感じました

コメントありがとうございます

カナナさん
ありがとうございます。
これを読んでくださったみなさんが、それぞれの日常でそんな温かい瞬間を発見できればよいな、と思います
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2児(♂5歳、♂3歳)の父親です(プロフィール詳細はこちら)

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