スポンサーサイト

--.--.--   [スポンサー広告]

僕が見たアメリカの真実 -アメリカの公道で咄嗟にドリフトが必要な場合における、その注意点と対処方に関して-

hitabon 
2013.02.12   [日記]



 アメリカのフリーウェイは最高にハイだ。

 横幅の広い車線に、相撲取りを横3列、縦10列並べた程の車が、風を外側に握り潰していくように、ただ真っ直ぐに疾走していく。太陽は車のボンネットを真上から照らし、巨大な何かの塊を思わるような大河は、その光を複雑に反射させていた。

 日本の首都高速道路のような、込み入った分岐はなく、また減速が必要なカーブもなく、ただ遙か彼方で揺れる、巨大なビル群の陰を目指して、進んでいた。

 30分程進み、いよいよフリーウェイから降り、街中へと入っていく。ここまで至ると、右側車線を走る事も、そう違和感がなくなってきており、寧ろ左側を走っていた時の記憶のほうが、次第に夢うつつとなっていく。

 僕の滞在するホテルは、街の中心部を外れ、緑茶の葉の色をした緑に囲まれていながらも、レストラン等の集落が、車で15分以内の所に、複数点在していた。

 ホテルはもう目前だった。目の前の信号を右に曲がると、そこは3車線の道路になっていた。場所にもよるかもしれないが、アメリカは3車線の場合、左右外側の車線が、それぞれの方向に進むための道であり、中央の車線は、左折、又は右折時の待機用の車線として、割り当てられているようなのだ。
 僕は一番右の車線を走っていると、ある事に気がついた。500メートル先に設置されていた信号が、赤から青へと変わり、止まっていた車が一斉に動きだした。何かがおかしかった。だが、僕にはそれが何か、最初は、分からなかった。3秒だった。その瞬間、ある事を理解した。僕の走っている車線に、向こう側からも、車が迫ってきているのだ。アメリカの慣習に従い、正しく、そしていみじくも健気に、右側車線を走っているはずなのに、一体何が起きているのか分からなかったが、少なくとも、今いるこの車線に留まる事は、大切な試験を明日に向かえた深夜に、一時間だけ仮眠をとろうと、柔らかなベッドの上に横になるぐらい危険な事であることは、常日頃、布団とバッドラックしがちな僕でも、容易に理解することが出来た。

 中央車線へと避けた。そこで又しても驚愕の事態が僕を待っていた。又しても、前から車が迫ってきている。先ほどの右側車線にいた車が、シューティングゲームさながらに、横に共に移動したわけではなく、別の車が待ち構えていたのだ。

「これだからアメリカは…」

 震えた声で、僕は呟いた。今、もし僕が口に牛乳を含んでいたとするならば、間違いなく白い涙を流したであろう程に、僕の瞳は涙欲しており、そこからは国産大粒納豆程の涙が、ぼつりぼつりと転がり落ちた。早く避けなくては。だが、僕も馬鹿ではない。賢い人間は、同じ過ちを決して繰り返さないのだ。一番左側の車線に移る前に、僕は、その車線の前方を予め確認した。

 よし、左側の車線からも車が迫ってきている。僕は、死んだ。

 そこから世界はスローモーションに突入した。今こそ、ドリフトを使って、車を反転させるのだ。そう、あの技を使うんだ。どれだけ…一体今まで、どれだけ、僕が、雨の日も、雪の日も、嵐吹き荒れる夜も、家の中でマリオカートに時間を費やしてきたというのだ。右手でサイドブレーキを握りこむ。いくぞ、迷っている時間など、残されてはいない。

「いえす あい きゃん」

 僕は咆哮を上げた。コロンブスよ、僕はまだ終われない。この窮地から見事脱し、新しい自分という名の大陸を、その大陸棚から、慎重に、満遍なく、時に大胆に調べるのだ。そして、再び叫ぼう、発見、僕のアメリカ発見。ここが、わての大陸や。
 サイドブレーキを再び握る。いくぞ、3、2、1、…待て、だめだ、やめろ、よく思い返してみろ、そうだ…僕は…一つ過ちを犯したのだ…僕は…僕は、マリオカート7を買っていないじゃないか…

 気がつくと、先ほどの3車線の道路脇にある駐車場に、車と共に僕はいた。まんまみーや、助かったのだ。僕はゆっくりと頭を覚醒させ、先ほどの通りに顔を向けた。簡単な事だった。まさかの、3車線オール一方通行だったのだ。

「わんだほー」

 最大級の賛辞を、その通りに残し、タイヤを静かに回転させながら、僕はホテルへと向かった。

web拍手 by FC2
コメント
コメントフォーム














管理者にだけ表示を許可する
送信時に拍手も送る(拍手用のウインドウが開きます)

プロフィール

名前 : hitabon

2児(♂5歳、♂3歳)の父親です(プロフィール詳細はこちら)

連絡先はこちら
お知らせ
※当ブログへのリンクは連絡不要です
人気記事ランキング
スポンサードリンク
Amazon

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。