スポンサーサイト

--.--.--   [スポンサー広告]

僕が見たアメリカの真実 -どきっ美少女だらけの飛行機旅行-

hitabon 
2013.02.10   [日記]



前回までのお話
僕が見たアメリカの真実 -旅立ち-

 僕を詰め込んだだ飛行機が、日本の大地を去った。

 財務事情の非常に厳しい我が社においては、飛行機の移動は当然エコノミークラスであり、その窮屈さと閉塞感は、さながら現代の奴隷船のように、自分の肉体を鞭打つようであったが、食事や飲み物がサービスされると点においては、僕にとってはこれはもう、総理大臣になったのではないかと思わせる程の待遇であり、ただ黙って私は縁日で掬い上げられた金魚のように、辺りを見回しながら、残り10時間の旅に想いを馳せていた。

「お兄さん、お仕事かい」

 左隣りに座っていた、服装や装飾品がそこはかとない自己主張をしている、年齢的には50歳前後であろう面持ちであろう日本人風の婦人が、少しうんざりした表情をしながらも、その奥には何かを期待した目つきで、僕に話しかけてきた。

「ええ、初めての海外出張なんです」
「あら、大変だねぇ」
「そちらはご旅行ですか」

 その瞬間の僕は、何一つ気が付く事はなかったのだが、今思うと、あの瞬間、足元でかちりと何か金属音がなったはずだ。いつの間にか、僕は地雷原に足を踏み入れており、今僕が踏んだものは、間違いなくそれの一つであり、処理を少しでも間違えば、辺り一面が大惨事となるのだ。

「いやいや、私はこれから家に帰るところなのよ。え?お兄さんはシアトルに行くの?ああ、私の家はね、シアトルから北西に行った島にあるんだけど。え?どんな島かだって?船で」

 今となっては彼女が何を話していたが、一字一句、再現するこは、限りなく不可能である。要約すると、元々日本人であった彼女は、遙か昔に、夫とその知人らとアメリカに移り、生活をしており、先日ひさしぶりに日本に住む家族の元を訪れた。そして今はアメリカへの帰り途中、という事だ。文字にすると此れだけの事ではあるが、その場においては、20年前の地図を使ってナビゲーションされたかのように、何度も話が行ったり来たりと、到達するかも分からない目的地目指し、婦人の運転によって、僕はどこにいるかも分からない状態だったのだ。

「日本ではね、初日に、娘と娘婿が出向かえてくれて、近くの温泉に連れて行ってくれたのよ」
「ああ、温泉はいいですね。その一点のみは同意します」
「久しぶりに日本に来たわ、って感じがしたわね」
「はぁ」
「で、二日目は、私一人でショッピングに行ったんだけど、道に迷ってしまってね。ほら、新宿駅とか迷路みたいじゃない」
「確かにそうですね。乗り換えは複雑ですね」
「そうなのよ、で、困ったから、タクシーで移動しようと思ったんだけど、さあ、ここで何に私が困ったか分かる?」
「そういうクイズは勘弁して頂きたいのですが、じゃあとりあえず、お金がなかったとか。あ、スーパーひとし君で」
「いやいや、タクシー乗り場がどこかも分からなかったのよ」
「思った以上に、普通の答えですね。こっちががっくりですよ」
「で、タクシーの場所を誰に聞いていいかも、分からなくて、本当困ったわ。まあ結局は娘に電話して、来てもらったんだけどね」
「そう、よかったね…」
「で、三日目なんだけど、」
「ちょっと、ちょっと待ってください。一つだけ確認させてください」
「ここからが、いい所なんだけど、何よ」
「あの、今回の日本のご旅行は、何日間だったのですか」
「ちょうど30日だったかしら」
「すいません、ちょっとお手洗いに行ってきます」

 こうして僕は地雷の埋まった席から、脱出する事が出来た。
 トイレの流すボタンを押して、あまりの勢いの良い吸い込みっぷりに、一瞬たじろいだ後、自分の席に戻ると、先ほどの婦人は、体を横にして毛布を被り、寝ているようだった。僕は、疲れているであろう彼女を、どんな事があっても起こしてはならないと思い、機内の騒音に紛れて、席に座った。

 眠たくはなかったが、色々と疲れてしまった事もあり、僕も目を瞑ることにしたのだが、そうしようとした矢先、激しく右の腕を、2回ほど叩かれた。
 僕がその先を見ると、右側に座っていた60歳前後の婦人がこちらを見ていた。こう表現しては申し訳ないのだが、決して良い身なりではなかった。

「どうかしましたか」

 僕が尋ねたが、何か困惑した面持ちで、何かを切り出そうとしているようだが、言葉に詰まっているようだった。僕もそこで、あることに気がついた。彼女は、限りなく同じ日本人のように見えた、しかし、うまく言葉では表せないが、どこかそれとは違う、目、鼻、口の特徴を持っている気がした。そこまで考えを巡らせると、先ほどの私の日本語によって、彼女が困惑しているであろう事に、当然考えが行き着く。

「わっつ ざ ぷろぶれむ(訳:ねえ、そこの彼女、あそこに美味しいステーキハウスがあるんだけど、一緒にどう?何か問題ある?)」

それでも彼女は、まだ口を開かなかった。ああ、なるほど、ここから先は部長との、英会話特訓以上の事が求められそうだった。

「に はお(訳:こんにちは、昔テンテンって女の子いたじゃん?覚えてる?大きくなってからも凄くかわいいよね)」

 彼女が僕の目を、真っ直ぐに見つめなおしてきた。どうやら正解のようだ。ただ、残念な事に、僕の中国語は簡単にかじった程度だ。

「に よう うえん てぃ ま(訳:ヘイ、彼女、これから絶品の飲茶でもどうだい?何か問題あるかい?)」

 この問いかけに、彼女は大量の中国語を返してきたが、何一つ僕は聞き取る事ができなかった。ただ、最後に僕の膝にかかっていた、ブランケットを指していた。彼女の席を見ると、それがない。
 僕は直ぐ様、通りかかったキャビンアテンダントに声をかけた。

「くじゅ れっと は はぶ あ ぶらんけっと(訳:俺の彼女が寒い言うてるやん、どないしてくれんねん。女将を呼べ)」

 無事、目的と思われたブランケットを手にした彼女は、お礼なのか、僕に白いつつみを渡してきた。

「おー のー どらっぐ(訳:く、くすりはやめておくれ、いや、おくれ、もっとおくれ)」

 やはり、彼女には日本語も、英語ですらも何一つ通じないようだった。彼女は僕にその包み紙を開けて口にいれろ、というジェスチャを繰り返した。
中を開けてみると、砂糖のかかった長方形のお菓子のようだった。意を決して口に入れてみると、ちんすこうと同じ味がした。

「たい はお ちー あ(訳:何か変な物が入っていないかと、最大級の警戒をして口にいれてみましたが、普通に美味しくて、拍子抜けしました)」 

 こうして、僕の10時間の旅は、この愉快な隣人達と、終わることのない宴を繰り広げつつ、進んで行ったのだった。

 道中、キャビンアテンダントから、「チキン」と言われ、「誰にも腰抜けなんて言わせない」と抗議したり、シート付属に付いている映画で、
 アバターを見てみたが、英語が早すぎて何を喋っているのか分からなく、キャピンアテンダントを呼び、「ここまでの、あらすじ教えてくれない?」と頼んでみたところ、却下されたりと、多々あったが、重要な話ではないので割愛する。

 アメリカの大地が、目前まで迫っていた。

web拍手 by FC2
コメント
コメントフォーム














管理者にだけ表示を許可する
送信時に拍手も送る(拍手用のウインドウが開きます)

プロフィール

名前 : hitabon

2児(♂5歳、♂3歳)の父親です(プロフィール詳細はこちら)

連絡先はこちら
お知らせ
※当ブログへのリンクは連絡不要です
人気記事ランキング
スポンサードリンク
Amazon

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。